こちらは、HONDA シビックオーディオパネルと空調パネルになります。
前回の作業では、上塗り(ベースカラー→クリヤーコート)を行いました。
塗膜の乾燥が終わりましたので、これからクリヤーオーバーコートを行っていきます。
当店のピアノブラックはクリヤーコートを2回に分けて行っていますが、2回目のクリヤーコート前には塗膜をサンディングでフラットにしています。
これは、塗装を行うと塗膜に肌(ラウンド)が残るんですが、そのまま2回目のクリヤーコートを行うと、ラウンドがさらに荒くなりモチモチっとした質感になってしまうんです。
左の写真は、サンディングぺーバーでサンディングを行っているところになります。
右の写真はサンディング後になります。
ツルツルになりました。笑
サンディングが終わりましたので、クリヤーオーバーコート用のセッティングをします。(左の写真)
セッティングが終わったらクリヤーオーバーコートを行います。(右の写真)
テロテロです。笑
ところで、先ほど塗膜に肌(ラウンド)が残ると書きました。
では、何故に塗膜にラウンドが残ってしまうのか?
それは、ベースカラーの存在が関係しています。
ベースカラーは硬化剤の入らない1液タイプの塗料を使用していますが、1液塗料はクリヤーベースの硬化剤とアンカー結合されて塗膜として形成されます。
言い換えると、クリヤーベースがベースカラーに吸収されているんです。
クリヤーベースの吸収率は、ベースカラーのコート回数が増えれば増えるほど高くなります。
ベースカラーとクリヤーベースを例えるならパチンコかなと思います。
クギがベースカラー、パチンコ玉がクリヤーベースとします。
クギがないパチンコ台は、パチンコ玉がまっ逆さまに落ちていきます。
ただ、クギが張り巡らされたパチンコ台では、パチンコ玉がクギに引っ掛かります。
このパチンコ玉がクギに引っ掛かった箇所が、塗膜の肌(ラウンド)になっていきます。
当店のピアノブラックは、1回目のクリヤーコート後にサンディングを行っているので、2回目のクリヤーコートではクギがない状態になります。
なので、クリヤーベースだけの塗膜になるのでテロテロになります。
…とはいえ、通常塗装でもなるべく塗膜のラウンドを軽減させるようにしているんですよね。汗
例えば、ベースカラーのコート回数やクリヤーコートの塗り方などです。
ベースカラーのコート回数は、上塗り色が染まりやすくなるように下地剤(プライマーやサーフェーサー)の色(明度)を上塗り色に近づけています。
微々たる努力かもしれませんが、たった1コートでも減らせると違うんですよね。汗
クリヤーコートの塗り方は、1回のクリヤーコートを2コートに分けて行ったとします。
1コート目でツヤを出した後、2コート目までフラッシュタイム(指触乾燥)を摂るようにしています。
これは、1コート目のクリヤーベースをベースカラーに吸収させて固めるためです。
十分にフラッシュタイムを摂ることによりクギが張り巡らされた状態になるので、2コート目のクリヤーベースをたっぷりノセることができます。
...とはとはいえ、やはりピアノブラックのツヤ感には勝てませんけどね。苦笑
ツヤ感や色の深みが違うかなと思います。
ちなみにですが、クリヤーベースは溶剤が含まれているので、熱乾燥を行うと溶剤が揮発して、塗膜として残るクリヤー層の割合が低くなるんですよね。
塗りたて直後はツヤ感があったのに、乾燥後にツヤが引けた…クリヤーベースの溶剤含有量にもよりますが、クリヤーコートを追っかけ過ぎていることも原因のひとつかなと思います。
個人的には、塗装は忍耐スポーツのようなモノかなと思っています。
焦らず、急がず、ゆっくりと…この繰り返しが良い方向に向かってくれるのではないかなと思います。
私もせっかちなタイプの人間ですが、塗装を行う際は心掛けるようにしています。汗
お陰様でペーパーゴールド免許です。苦笑
それでは、塗膜の乾燥が終わりましたら完成になります。
次回はシルバーメタリック塗装でご依頼いただいているパーツの上塗りに入ります。
もうしばらくお待ちくださいね。